証拠のないいじめ
「先生、私、クラスでいじめにあってるみたいなんです…。」
もしあなたが学校の教師だったら
上記のような生徒の相談にどう対応するだろうか?
きっとほとんどの方が「いじめは解決せねば!」と、相談に来た生徒に親密になってあげたいと思うのではないだろうか?
しかし現実はそうはいかない!
なぜなら、いじめの加害者は、いじめの件を問い詰めても「やった」と認めないことが多いからだ!
そのため、どんなにいじめの被害者がSOSを出していたとしても、そのSOSは加害者が軽く首を横に振るだけで、いとも簡単にかき消されてしまう。
そして、いじめ問題を訴える場面で必ずと言ってもいいほど求められるのは「いじめの証拠」である。
実際、高校時代にクラスからいじめを受けていた私は、担任の教師にいじめの相談をした際
「証拠はあるの?」
と問い詰められ、その証拠を用意するどころか、見つけることすらできず
最終的には「ごきの被害妄想」という形で相談の幕が下りた経験をしたことがある。
きっといじめの相談に上手く対応できない教師たちも、上記のような理由から
いじめの加害者を「加害者」と断定できず、その悪事を裁くことができないのではないだろうか。
では、このような「証拠のないいじめ」の相談はどう対応すればいいのか?
私はこのことにずっと悩んでいたが、最近見たアニメの中に登場したとある台詞が
このモヤモヤを解決してくれた!
その漫画とは、私の前々回の記事で紹介した「3月のライオン」である。
その台詞が登場するお話は、私の前々回の記事で紹介した話の続編で(その内容は、私の前々回の記事「絶対に間違ってなんかない!」をお読み下さい。)
学校でいじめを受けていた、物語のヒロインである「ひなちゃん」が
教師にいじめを訴えた際に、いじめの加害者と被害者の親を呼び、三者面談が開かれる回である。
自分の娘がクラスでいじめをしていると訴えられた加害者の親は逆上して
「ウチの娘がやったっていう証拠は!?」
と、いじめの証拠を提示するように言ったのだが
それに対する、三者面談を受け持っていた教師の返答が、以下の台詞である!
「やった人間は絶対に認めない。周りの人間もチクッたら次は自分がやられるから口をつむぐ。証拠なんてね出てくる訳が無い、イジメではね証拠が無いのが当り前なんですよ」
私はこの台詞を読んだとき「全くその通りだ!」と思った。
生徒から相談されたいじめに証拠がないのではなく、
証拠がないのが「いじめ」なのだ!
だから、もしこの記事を読んだ教師の方々が今、生徒から「証拠のないいじめ」の相談を受けていたとしたら
証拠がないことを理由に、相談の対応を諦めないでほしいなと私は思う。
そしてもう1つ勘違いしてはならないのが
生徒にいじめの相談をされた上で、教師がやるべきことは、加害者を裁くことではない!
被害者の手をそっと握って「ちゃんと味方がいる」ということを分からせてあげることだ。
ちっぽけな対応かもしれないが、それだけでも被害者にとっては、大きな支えになることは間違いない!
こうして教師1人1人が「クラスでいじめが起きている」という事実から目を逸らさず、少しずつでも被害者の心の傷に寄り添ってあげられるようになることが私の理想である。
by ごき